「お菓子は私の分だけいつも無い」陰湿な“職場いじめ”で退職した44歳女性。散歩中に偶然見つけた“次の居場所”が素敵すぎた
人生に行き詰まり立ち止まってしまった時に、ふと今まで見えなかったものが見えてきた……あなたはそんな経験をしたことはありませんか?
今回は、最近長年勤めていた会社を辞めてしまった酒井冬美さん(仮名・44歳/独身)のエピソードをご紹介しましょう。
「職場でずっと同じチームの女性陣からいじめや嫌がらせを受けていました。普段は私の存在自体を無視されているような感じで、お土産のお菓子も私の分だけがいつもありません。別にお菓子が欲しかったわけではないですが、そんな風に自分を“いないもの”として扱われ続けるのはキツいものがありましたね」
そうかと思えば、冬美さんがいるのを分かっているのに、近くで露骨に悪口を言われることもあったそう。
「他にも、私にだけ予定を伝えてくれなかったり、重要な書類を隠されたりして……そんな日々を送っているうちに『私は誰にでも嫌われてしまう価値のない無能な人間で、だからこういう扱いを受けても仕方ないんだ』と思うようになりました。
最初はもちろん理不尽な目に遭っていると分かっていましたが、結局嫌がらせをしてくる人を変えることはできません。それで無意識のうちに『自分に原因があるのだから仕方ない』と納得することで折り合いをつけようとしたんだと思います」
そうこうしているうちに冬美さんは体調を崩してしまい、病院に行くとうつ病と診断されました。
「やっぱりなという感じでしたね。そこから半年ほど休職したのですが、どうしてもあの会社に戻れる気がしなくて結局辞めてしまったんですよ」
未婚で彼氏もいない冬美さんは、親友の未歩さん(仮名・42歳/主婦)によく話を聞いてもらっていたそう。
「未歩はずっと私に『そんな会社辞めた方がいいよ』と言ってくれていたんですよ。ですが私が無駄に我慢しているうちにこんな病気にまでなってしまって……嫌がらせもキツいけど、環境を変えることも怖かったんですよね」
そして徐々に体調が良くなってきた冬美さんは、未歩さんにその時の心情を正直に話しました。
「『そろそろ社会復帰しようと思ってるんだけど……。とりあえず派遣社員とかかな? と思っても、自分がオフィスに出勤してパソコンで作業しているのを想像してみたら、どんどん暗い気持ちになってきてやる気がなくなってくるんだよね』と私が言ったら、未歩が意外な言葉を返してくれたんです。
『前職に縛られないで、自分の興味のあることや、ワクワクできる仕事についたらどうかな? これから冬美には1日1日を楽しく過ごしてほしいんだよ』って。目から鱗が落ちたような気持ちになりました。私は勝手に“自分には事務職しかない”と思い込んでいたので」
陰湿ないじめに遭い「自分は無価値」と思い込む
うつ病になって仕事を辞めた私に、親友は

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