藤井風「ファン=犬」発言の衝撃 —“ファンとアーティスト”の立場を変える革命的メッセージとは?
しばしば熱烈なファンを「◯◯信者」と呼ぶことがあります。この比喩表現が言葉そのものの意味で使われるようになったとしたら――。
日頃から「全ての人を愛し、全ての人に奉仕する」と公言している藤井のキャラクターからして、この発言がユーモアや皮肉によるものでないことは明らかです。それは「Hachikō」のサウンド、歌詞からも同様にストレートなメッセージだとわかります。
つまり、ここで藤井風はエンターテイメントの質を転換しているのです。演者と観客との力関係を、スムーズかつ寛容な方法によって、まるっきり逆転させてしまった。それを「愛」と「奉仕」というコンセプトによって、理屈ではなく感覚として受け入れさせてしまったのです。
もしかすると、それこそが日本の音楽シーンにおいて藤井風が起こした最大の革命かもしれません。
ファン=忠犬——藤井風の想い
9月リリース予定の藤井風の全編英語詞アルバム『Prema』から、先行曲「Hachikō」が公開されました。タイトルの通り、忠犬ハチ公がテーマの曲で、MVでもハチ公の像がある渋谷スクランブル交差点が登場しています。 そして、この曲について語った藤井風本人の言葉に驚きました。ハチ公が亡くなった主人を10年も待ち続けたことに触れ、それを自身とファンの関係にたとえて、<この曲は忠誠心に対する尊敬の念が込められているし、それは僕の3rdアルバムを辛抱強く待ってくれているファンのようでもある>と語っているからです。 これは藤井風とファンが固い絆で結ばれていることを示す言葉だと理解できます。一方、“ファン=忠犬”という主従関係で見る藤井風の姿勢をどうとらえたら良いのでしょうか?
藤井風が起こした革命
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