「M-1」敗者復活戦の“秀逸な新ルール”誕生のワケ。ファンの暴走を生んだ「過去のトラブル」も背景に
12月24日に放送される「M-1グランプリ2023」(ABCテレビ・テレビ朝日系)。年々決勝進出者の漫才のレベルは上がり、かなり上質な“ネタ番組”と言って良い。加えて、人生を変えるために漫才に真剣に向き合う漫才師の葛藤もうかがえ、“オーディション番組”として楽しむこともできる。
毎年注目度を更新している「M-1」ではあるが、変化を恐れない姿勢も魅力の一つなのかもしれない。実際、決勝進出の残り1枠を争う“敗者復活戦”のルールが変更された。昨年までは、敗者復活戦を見た視聴者から最も票を集めた漫才師が勝ち上がる“国民投票”が採用されていた。
ただ、今年からは準決勝敗退者をA、B、Cの3ブロックに分け、ランダムに選ばれた観客が投票を行う。勝ち上がった3組の中から石田明(NON STYLE)、柴田英嗣(アンタッチャブル)、野田クリスタル(マヂカルラブリー)、山内健司(かまいたち)、渡辺隆(錦鯉)の芸人審査員5人が投票して敗者復活の1組を決める、というもの。観客と芸人という2つのフィルターを通すことで、より公平性と納得感のある選出できる。
敗者復活戦のルール変更は当然と言えば当然だった。昨年まで実施されていた国民投票はどうしても人気投票になりやすい。過去の敗者復活戦でも面白さよりも知名度や人気により選出された、という疑惑の判定を指摘する声は少なくなかった。
最も顕著だった例として、2021年の敗者復活戦が挙げられる。
結果的にハライチが選出されたが、ハライチの漫才が面白かったかどうかは問題ではない。ハライチは漫才中に時間オーバーしてしまい、時間オーバーを知らせる爆発音が鳴ったものの、漫才を止めることはなく澤部佑は「ボカン! じゃねえ!」とツッコミを入れた。時間オーバーしたにもかかわらずハライチが選出されたことに違和感を覚えた視聴者は多く、国民投票の公平性が大きな疑いを持たれた瞬間と言って良い。
決勝進出の1枠を争う“敗者復活戦”のルール変更
時間オーバーしても勝ち上がった
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